労働時間・休日・労働制度の基本をおさえよう


転職活動を決心して、企業の求人情報を見ていると、労働時間・休日・労働制度が企業によって全く異なることに気づくだろう。一見すると企業がそれぞれで独自のルールを定めているようにさえ思える。

しかし、企業の労働時間・休日・労働制度は、労働基準法等の労働関係法令に従って決められている。つまり、企業はあくまで法律というルールの枠内でそれぞれ労働時間・休日・労働制度を定めているのである。

それにも関わらず、なぜ企業によって労働時間・休日・労働制度は大きく異るのだろうか。労働関係法令で定められている労働時間・休日・労働制度の”原則”、そして原則の適用が免除される”例外”のケースを理解していれば、その理由が自ずと見えてくるはずだ。

そこで本記事では、労働時間・休日・労働制度の基本的な知識について紹介したい。これらの基本をおさえた上で、改めて求人情報を確認すれば、それぞれの企業がどのような制度を導入しているかが分かるはずだ。

1.労働時間・休日の基本

1−1.労働時間・休日に関する法律の定め

労働時間・休日に関するルールは、労働基準法によって決められている。このようなルールがないと、企業はいくらでも社員を働かせることができるため、労働者保護の観点から労働基準法は存在するのだ。

労働基準法で決められている、具体的な労働時間・休日のルールは以下。

労働時間 使用者は原則として、1日8時間1週40時間を超えて労働させてはならない
休憩 使用者は労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければならない
休日 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

(厳密には違いますが)”使用者”は企業と読み替えてもいいでしょう。企業は社員を働かせる際に、上記のルールを守らなければならないのだ。

ただし、このルールはあくまで”原則”だ。法律で”原則”と言うときは、多くの場合”例外”も存在する。代表的な”例外”ケースは、時間外労働が該当するが、これについてはまた後述する。

1−2.法定労働時間と所定労働時間の違いを理解しよう

労働時間の基本を知るためには、”法定労働時間”と”所定労働時間”という用語の違いも理解する必要がある。それぞれの定義は以下である。

労働時間 法律で決められている労働時間の上限
所定労働時間 企業が法定労働時間内の範囲で自由に定める労働時間(就業時間)

法定労働時間は、あらかじめ法律によって決められている労働時間のルールだ。「企業の労働時間はこれまでに収めましょう」という上限であり、企業は法定労働時間を超えた労働時間を定めることはできない。具体的には、前述した「1日8時間・週40時間」と言ったルールが法定労働時間に該当する。

しかし、法定労働時間はあくまで上限に関するルールだ。法定労働時間は1日8時間・週40時間と決められているが、企業は自社の就業時間を法定労働時間よりも短くすることもできる。つまり、「就業時間10~18時(休憩1時間)」と定めて、一日の就業時間を7時間にすることは問題ないのだ。

所定労働時間は企業が自由に定めることができるために、求人サイトなどを見ると企業によって就業時間が異なったりするのである。

所定労働時間は給料にも結びつくことにも注意しておこう。例えば、月給は同じだが、所定労働時間が7時間と8時間で異なる求人があるとすると、時間当たりの単価で前者の方が勝っていることになる。

求人を見る際には、応募する企業の所定労働時間がどのように定められているかを確認しよう。

2.時間外労働の基本(36協定)

法律で決まっている労働時間の上限は1日8時間・週40時間だ。それ以上の労働時間は法律では許されていない。だが、この決まりは”原則”だ。

実際、多くの方は1日8時間・週40時間より労働した経験はあるだろう。それでは、企業は法律に違反しているのか?実はそうではない。なぜなら、1日8時間・週40時間以上の労働を行わせても許される”例外”が存在するからだ。

その例外の一つが”時間外労働(残業)”なのだ。

業務の都合で、1日8時間・週40時間内に労働時間を抑えられないこともあるだろう。そのような場合、企業は法定労働時間を超えた労働を社員にさせることができる。ただし、無制限に労働をさせることが可能だと、労働基準法の意味がなくなってしまう。そこで、法定労働時間を超えた時間外労働をさせる場合のルールも、労働基準法で定められている。

企業が社員に時間外労働をさせるために、企業は「労働者の過半数で組織される労働組合」もしくは「労働者の過半数を代表する者」との間で、時間外・休日労働について労使協定で定め、行政官庁に届け出なければいけない。

この労使協定が俗に言う”36(サブロク)協定”である。
※正式には”時間外労働協定”

当然、36協定を定めたからといって、いくらでも時間外労働が認められるわけではなく、時間外労働に関する上限も法令で定められている。

3.労働制度の基本

法定労働時間では1日8時間・週40時間と定められているため、多くの企業ではその範囲内で所定労働時間が決められている。9時〜18時(休憩1時間)や10時〜19時(休憩1時間)といった就業時間が多いのはこのためである。

だが、業務内容等によってはこのような労働時間制度が適さないこともある。例えば、繁閑の差が激しい業界などでは、一時的に労働時間を長くして、その他を短くしたいということもある。

そういった多様なニーズにも応えられるよう、労働制度もいくつか種類がある。以下がそのような労働制度の種類である。

変形労働時間制

特定の日または週で法定労働時間を超えた労働を可能とする制度。しかし、変形労働時間制を適用する期間を定める必要があり、その期間内の週あたり労働時間平均を、法定労働時間内に収める必要がある。

繁閑の差が激しく、業務量が時期によって上下しやすい業務に適している。期間によって日単位・週単位の法定労働時間の上限を解除することができるだけで、総労働時間の上限を上げる制度ではないことを覚えておこう。

フレックスタイム制

労働者が始業時間・就業時間を自主的に決められる制度。完全に自主的ではなく、一定の制限を設けることも可能。

みなし労働時間制

実際の労働時間数に関わらず、事前に決められた労働時間数を働いたものとみなす制度。


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