求人に年齢制限を設けることはできるのか?


雇用対策法により年齢制限は原則禁止

求人情報を閲覧する際に気になるのは、自分の年齢でも応募できるかどうかでしょう。活躍する自信があるのに、年齢だけで選考対象外とされては悔しいですよね。

この点、現在は雇用対策法により、求人における年齢制限は原則禁止されています(「雇用対策法10条」労働政策研究・研修機構)。

そのため、「30歳以下募集」「20歳以下歓迎」といった表記を求人で使用することはできません。

しかし、法律における”原則”には”例外”もついてくるもの。正確に求人情報を読むためにも、本記事ではどういった場合に年齢制限が認められるか、また実質として年齢制限がなされているかどうかについて説明します。

年齢制限が認められる場合

原則として禁止されている年齢制限ですが、雇用対策法施行規則第1条の3第1項に定められている場合に該当すると、例外的に年齢制限が認められます。

以下がそれぞれ年齢制限が認められる例外です。

例外事由1号:定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

定年があり、その年齢を上限として求人を出す場合は、年齢制限が認められることがあります。例えば、60歳を定年としている会社において、60歳未満の年齢制限を設けて募集する場合が該当します。

ただし、定年を上限と定めても年齢制限が認められないことがあります。それは、”期間の定めのある労働契約”を条件としている場合です。期間の定めのある労働契約とは、労働契約の期間が”1年”のように、期間が決められていることを指します。

定年を上限として年齢制限を設ける場合は、期間の定めのない労働契約を対象としなければいけません。「60歳未満を募集(契約期間1年)」のように、期間を定めることはできません。

また、上限として”定年年齢”を定めなければいけないことにも注意です。定年が65歳なのに、60歳未満を対象とした募集もできません。さらに、「40歳以上60歳未満を対象」のように下限を設けることもできません。

例外事由2号:労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合

ある特定の業務の中には、労働基準法やその他の法令によって年齢制限が設けられている場合があります。

例えば、警備業務や危険有害業務がこれに該当します。これらの業務は一定年齢に達していないとむしろ就業してはいけないので、その法令に従って年齢制限を行うことは認められます。「18歳以上を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)」として募集する場合が該当します。

例外事由3号イ:長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

企業にとって、長く戦力として働いてくれる人を欲するのは自然なことではあります。そのため、長期的な戦力を確保するための採用として、年齢制限を行うことも例外として認められています。

この例外事由があれば、実質年齢制限はいくらでもできそうに思えますが、この場合も無条件に認められているわけではありません。なぜならこの場合に年齢制限を行うには、以下の要件を満たす必要があるからです。

  • 対象者の職業経験について不問とすること
  • 新卒者以外の者について、新卒者と同等の処遇にすること

まず、応募する者の職業経験を不問としなければいけません。長期的な戦力を”育てる”ための募集なのだから、職業経験を求めてはいけないということですね。

また、後者の要件はフリーターやニートに配慮したものです。フリーター・ニートといった者でも、不当に待遇を下げてはいけないということです。

そして、”期間の定めのある労働契約”を対象とする場合も年齢制限を行えません。つまり、「35歳未満を対象(契約期間1年)」とする求人は認められません。長期的なキャリア形成を図るのであるから、契約期間を設けることは主旨に反することは明らかです。

さらに、下限年齢を設けることもできません。そのため、「18歳以下35歳未満を対象」とすることもできません。

ちなみに、実務経験を必要としない免許資格を条件とすることはできます。例えば、「35歳未満を対象(要普通自動車免許)」とすることはできるのです。ただし、実務経験が必要な免許資格を条件とすることはできません。

例外事由3号ロ:技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

特定の職種においては、技術・ノウハウを継承していく必要が生じます。この時、ある特定の年齢層が極端に少ないと、後世に技術・ノウハウを継承できなくなってしまいます。そのような場合に、技術・ノウハウを継承する観点から、年齢制限を設けることが認められる場合があります。

特定の職種とは、「電気通信技術者」や「水産技術者」などが該当します。

特定の年齢層にも定義があり、30~49歳のうちの特定の5~10歳幅の年齢層とされます。

さらに、あくまで労働者数が”相当程度少ない”必要もあります。十分に労働者数が確保できているのであれば、技術・ノウハウの継承は可能となるからです。この”相当程度少ない”とは、同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して労働者数が2分の1以下の場合に該当します。

例えば、A社という会社の電気通信技術者の雇用状況が以下の場合を仮定しましょう。

  • 25~30歳の技術者が20人
  • 30~35歳の技術者が5人
  • 35~40歳の技術者が15人

上記のように5歳の年齢幅で区切った場合に、30~35歳の年齢層の労働者が上下の年齢層のどちらから比較しても半分以下となっています。このような場合には年齢制限が認められるのです。

もちろん、募集に際して期間の定めを設けてはいけません。

例外事由3号ハ:芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合

芸術作品のモデルや、演劇の子役を募集する際などは、年齢制限を設けたい場合があるでしょう。このような場合には年齢制限を設けることが認められます。

例外事由3号ニ:60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

60歳以上の高年齢者を対象として、募集することは認められます。つまり、「60歳以上が対象」となっている求人は認められるのです。ただし、この場合は上限を設けることはできません。

また、特定の年齢層の雇用を促進する施策を活用しようとする場合にも年齢制限は認められます。例えば、「60歳以上65歳未満」という年齢層の雇用を促進する施策があるとして、その施策を活用するために「60歳以上65歳未満」と制限することは問題ありません。ただし、その施策において定められている年齢層から外れてはいけません。

求人では制限していなくとも、実質は年齢制限をしているのではないか?

以上のとおり、法律では年齢制限は原則禁止されています。

しかし、表向きは年齢制限をしていなくとも、書類選考で年齢を理由に落としたりしているのではないか?

残念ながら、このようなことは現実に行われています。企業も採用にコストをかけます。そのため、ある程度自社の年齢構成比を気にしながら、採用をすることはどうしても避けられません。

ただ、以前と違って、応募すら拒絶されるということは少なくなっています。書類を見てもらえば、採用担当の気が変わる可能性もあります。

年齢を気にして応募を踏みとどまっているのであれば、求人情報における年齢制限のルールを知っておきましょう。


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